【相続人の理解を得て全体財産の取得】~相続解決事例

遺産分割は、基本的には法定相続分に沿った分割を前提に特殊事情を踏まえて、調整を行うといった流れになります。もっとも、今回ご紹介させて頂く事案は、相手方の理解を得て、その全部を当方依頼人が取得した事案です。

これについては、かなりイレギュラーでかつ相手方にも理解をして頂いたといった事案です。その前提でご確認頂けますと幸いです。

本件については、兄弟2人が相続人として存在した中、事業を引き継いでいた弟様から依頼を受けた事案になります。 

なお、本事案に限らず私が紹介している解決事案は実際の内容から一部変更した上でご紹介させて頂いております。

1 ご相談前の状況

  ご相談者様がいらっしゃった際には、お父様が亡くなった(既にお母様は亡くなられておりました)ので相続手続で協力して欲しい。ただ、事業の関係で自分が全部引き継ぎたいが、遠方にいる兄もそのことを伝えればわかってくれるはずといったものでした。これまでのご相談者様にもこのように仰る方は少なくありませんでしたが、実際に分かってくれて自己の相続分も不要と話して頂ける方は今まであまりおりませんでしたので,その点をお伝えさせて頂いた上で、やれることまでやりましょうとお話で進めることになりました。

2 ご相談時の状況

  ご依頼頂いた後まずご本人が説得されるとお話されていた書面を一旦書いて頂いて、その内容を一緒に検討しました。相当回数私と協議の上、推敲を重ねて、第1案を送付しました。私と依頼者様の結論として、どう話すれば納得してもらえるかを常に考えて対応しました。その中で、事業の資産として、相続対象財産が事業継続に必要であること、被相続人であるお父様が事業資産と個人資産を混同させていたこと、本来法定相続分で分割されるはずの負債を依頼者が全額負担していたことを粘り強く伝えることを考えて送付しました。

3 受任後の対応

  最初の段階の書面が功を奏したのかはわかりませんが、大筋としては納得したと頂きいくつかの回答をもらってこちらの提案に乗るとの話を頂きました。

  その後、いくつかの回答をこちらから行って納得して頂き、被相続人の財産を依頼人が取得することになりました。

4 弁護士中村より本件を振り返って

  現実に法的な結論と異なる結果を得ることはなかなか簡単ではありません。しかし、任意の交渉を前提とすれば、相手方が納得してくれさえすれば、法的な結論と異なる結果も十分あり得ます。また、本件のような全体を取得しての解決といった方法にも、相続放棄を行う事、相続分譲渡を行う、遺産分割でその内容を記載するなどと様々な手段があり得ます。

 相続放棄、相続分譲渡、遺産分割での指定のそれぞれにメリットデメリットがあり、それを踏まえて進めていくことが肝要です。遺産分割は、どのように進めるかによって結論が大幅に変わってきます。

 弊所は相続に関するご相談は無料相談を用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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