先日の国会審議で、いわゆる共同親権法案が成立しました。
これに伴って、どのように子の紛争の状況が変わっていくのでしょうか。その視点から、私なりに概観させて頂きたいと思います。
以下では、①私なりの今後争点となる可能性が強い部分②その部分における現在の審理状況を概観し、簡単にまとめさせて頂ければと考えております。
このページの目次
1 弁護士中村が考える共同親権導入によって想定される今後の争点
もちろん、本法改正によっても例外として共同親権を導入しない場合として、DV・虐待等について考えられます。ただ、この部分については、立証の問題であり、その部分についての証拠の有無に依存することになり、結局それほど争いとならないのではというのが弁護士中村の考えです。
他方で、これまで親権争いとなっていた件がいわば監護権争いにシフトすることになるのではと考えております。ただ、これは今まで監護権と親権を分離することを裁判所が基本的に認めなかったことから事実上親権争いに収斂されていたものが監護権の争いにいわば一本化されることになるというのが私の考えです。なお、これまで親権を取得できなかったものが共同親権があるからこそ合意(和解)をするといった議論がされているようですが、私はそうはならないと考えております。繰り返しになりますが、結局身近で子どもの成長を実感したいという方が見通しの如何とは別に争っていたというのが私の実感です。ですので、今後もそのような考えの方は監護権(法改正に伴って、裁判所がどのような対応をするのかは現状不明です)として、争うことになるように思います。
以下では、あくまで現状はという前提ですが、監護権争いの審議、今後共同親権の下想定しておいた方が良い点について簡単に見ていきたいと思います。
2 監護権における裁判所の考え
(1) 10歳程度まで
この年齢になるまで、裁判所はあまり子の意向はそれほど重視しません。紛争が激化するまでどちらが主として監護していたのか、その監護に問題があったか、今どちらが監護しているのか、その監護に問題があるのかといった視点でみることが多いです。いかに状況を裁判官や調査官に分かってもらうことが重要になります。並行して、客観事情からどのようなことが言えるのかをある程度早い段階で示すことが重要かなと私は考えております。その当否はともかくとして、裁判所が一度考えを示して、それを変更することはあまり多くないためです。
(2) 10歳以上
この段階になってくると、概ね子の意思が尊重されます。その上で、15歳を超えてくると子の意向を必要的に審尋する必要が出てきます。ただ、幼児でない限り様々な方法で、裁判所に勤務する調査官が子の意向の調査をしております。
あくまで、この年齢及び考慮についても年齢相応に成長していることを前提とするものですので、例えば、年齢相応の成長をしていないと調査官が判断すれば、子の意向よりも子の為にどちらが良いかという視点で裁判所がある種後見的に判断することも少なくありません。
(3) まとめ
現状裁判所は、子どもが十分判断できない場合は、これまでの監護状況や現状の監護状況を踏まえて、どちらが監護するのが適しているのか判断し、判断が可能になった段階では子どものその考えを主軸にその意思判断を尊重することが子の利益に沿うと考えているようですので、その点を今後も留意する必要があるというのが、これまでの経験を踏まえた私の考えです。
3 今後共同親権の下想定しておいた方が良い点
厳密な運用はどうなっていくか正直読めない部分がありますが、共同親権になると子の発育等の重要な場面においては両親双方の合意が必要になる可能性も十分あるかと思います。それを見越して、その段階段階で十分協議ができるような関係性を維持することを心がける方が良いと思われます。
4 弁護士中村より
結局共同親権になっても、子をめぐる子の紛争は減らないのでは、監護権に紛争の主戦場になるのではというのが私の考えです。現状メディア等で出ている情報を踏まえると、私の予想は上記のとおりです。
そうなると、これまでと変わらず十分な対策、見通しを持って進めることが必要であると考えております。
以上のとおり、結局監護者指定等の争いに収斂するのではと考えております。その意味でも同分野について、無料相談を実施しておりますのでお気軽にお問い合わせください。
兵庫県にお住まいの方はぜひご来所頂き、遠方にお住いの方も弊所はオンラインで対応しておりますので、一度気軽にご相談のご連絡を頂けますと幸いです。