養育費や婚姻費用については、みなさまもご存じのとおり裁判所が周知している標準算定表を踏まえて行われることが多く、あの表を見ればなんとかなると思われている方が少なくないと思われます。もっとも、大多数の場合(言い換えると、標準的な場合)はあの表で調整できるのですが、標準的な場合から変わる場合は改定標準算定表の修正が測られることが多いです。
今回のコラムでは、そのような場合の代表的な場合を挙げさせて頂きたいと思いますので一例としてご確認頂きたいと思います。
このページの目次
1 専業主婦における収入がゼロとなることは少ないこと
実際に働いていないとしてもそれに合理的な理由がないと裁判所はその点を考慮しないことが多いです。具体的にはお子さんの年齢もしくは就労不能な程度の傷病がなければ働いてないとしても収入がゼロであるとされることは多くありません。
よくあるのは、少なくともパート職程度の収入とみられることが多いです。
2 婚姻費用の支払い義務者が住宅ローン支払いをしていたとしてもその全額が考慮されることは少ないこと
これについては、様々な考えがあるのが前提です。ただ、現在の家裁実務としては、多くの場合、婚姻費用の支払いから住居費相当(各収入区分に応じて推計される金額です)が控除されることが多いです。
もっとも、これを知っているか否かでどのような対応をするのが良いか十分ご検討できると思いますので、一つ知識としてお持ち頂けますと幸いです。
3 いわゆる改定標準査定表においては習い事は考慮されていないこと
これについては、まず習い事を行うことについて合意があったか、その金額で様々な議論がありますが、概ね以下のように整理されることが多いです。
(1) 習い事についての合意
明示的なものがあれば良いですが、同居期間中に始めたものについて、拒絶の意思がなければ合意が認められることが多いです。そしてこれが認められれば、分担の対象になる傾向にあります。
(2) 費用負担について
合意があるとなった場合については、収入割合であったり、生活費指数(成人を100としてどの程度生活費がかかるかの指数)を前提にして双方でその負担を割り振ることが一般的です。
現実どの程度の分担になるかはやや複雑な計算になりますので、弁護士にご相談されることをお勧めします。
4 いわゆる改定標準算定表において考慮されているのは公立学費であること
私立分は考慮されておりません。したがって習い事と同様にどのように按分するかが問題になってきます。
この場合については、改定標準算定表で考慮されている公立分を控除した上で、私立分を加算するということになりますので習い事より計算が相当複雑になります。この部分の分担になるとかなり専門的な計算になってきなおかつ相応の金額になりますので弁護士へのご相談を強くお勧めします。
5 まとめ
養育費や婚姻費用における改定標準算定表の修正要素について、ざっと思いつくものを挙げましたがそれでもこれぐらいの知識が出てきます。その他にも例えば相手方が浮気した場合の養育費や住居費の考え方、終期についての考え方等様々検討するものが少なくありません。
このような知っているか知らないだけで相応に金額が変わるものについて場合によっては弁護士と進めることも検討されても良いと思います。この場合はどうですかといったもので初回相談は対応しますのでお気軽にお問い合わせください。