本件は、いわゆる使い込み金銭に対する請求の事案です。
本事案については、証拠関係が残っていることが少ない中で、多くの場合、いわゆる通常の事案のような立証責任に依存した判断を必ずしも行うという訳ではありません。
この辺りは、多くの実務書で解説されているところですが、そのような前提で議論を行う弁護士もいればそうでない弁護士もいるといった現状です。私の認識では、多くの裁判官はその点を指摘させて頂ければそれを踏まえた調整をして頂けることが多い状況です。
本件は、そのようないわゆる使いこみ事案ですが、その被請求側の事案になります。どのように解決に流れて行ったかを見て頂ければと思います。
なお、本事案に限らず私が紹介している解決事案は実際の内容から一部変更した上でご紹介させて頂いております。
このページの目次
1 ご依頼前の状況
私のところにご相談に来られたのは、それこそ訴訟提起された後でした。この件について、従前の交渉段階でも双方弁護士が就いて協議しておりましたが、あまり実際の取引履歴ベースの話をされておりませんでした。私が協議の流れをみた感想としては、正直時間がかなり無為に過ぎてしまってしまっているなといったものでした。
その中で、私がむしろ手出しをしているぐらいだし、そもそも管理していた方から贈与を受けたものであるのに許せないといったものでした。
2 当初の状況
そのような前提でしたので、まず、しっかりと整理して主張して裁判官に分かってもらうことを意識しました。贈与自体は自由ですので(本件は遺留分も問題にならない事案でした)、2つのうちの一つはこのような経緯で贈与されたということを具体的に主張することにしました。その上で、もう一つの管理状況についてもこの種の審理方法に照らして、どの引き出しでどの金銭を使ったのかというものを領収書等の疎明資料に基づいて説明することにしました。
3 解決に向けて
上記のとおりの進行で進めた結果、ある程度双方の主張反論が出揃った段階で、裁判所より和解案の提示がありました。
その和解案としては、こちらの話が功を奏したのか贈与の事実を認めた上で(この金額が相当大きかったです)、管理していた金員についても概ねこちらの主張を認めた上で、相手方が納得する(和解に応じるために)この金額を出せないかといったものでした。
請求金額からすれば、相当減額されてはおりましたが、心証を前提にすればちょっと金額が大きいのではというのが私の印象でした。
依頼者様としては、裁判所がそのような理解をしてくれたこと、早期解決の観点からすればこのような金額はやむを得ないだろうとお話されてこちらとしては和解することになりました。ただ、請求していた原告側が納得しなかったようで、裁判所から原告に配慮したものであることを再三伝えられ、実際に裁判所で裁判官からも話をされておりました。
4 弁護士中村より本件を振り返って
この件については、依頼者様が協力的かつ資料を残して頂いていたこともありましたが、訴訟提起された後の早い段階で準備できたことが功を奏したように感じております。
主張ベースでは、こちらの主張を概ね認めてもらえて、その上で本人が納得できるような解決ができたので良い解決ができたように振り返っております。私としては、もう少し議論できたようにも思っております。ただ、あくまで代理人ですので、依頼者様の考えを尊重したいと思っております。
このように、見通しを踏まえた進行を心がけておりますので、協議しながら進めていければと考えておりますので、何かお困りがあれば、気軽にご相談下さい。
弊所では、このような使いこみ事案についても、無料相談を実施しております。
兵庫県にお住まいの方はぜひご来所頂き、遠方にお住いの方も弊所はオンラインで対応しておりますので、一度気軽にご相談のご連絡を頂けますと幸いです。