【法律家の異動事情】~第4回コラム~

今回のコラムでは、3月といった時期も踏まえて、法律家の異動について、弁護士の観点から皆さまより少し事情を知っているとの前提でお話しさせて頂きます。

ただ、他の業種(裁判官、検察官等)についてはそれほど詳しいわけではございませんのでその前提でお伝えさせて頂きます。

1 弁護士

 おやっと思われた方も多いかもしれませんが、「弁護士」についてはそれほど異動と言うものはありません。と言うより、弁護士業界自体それほど多くの人員を抱えているところが多いわけではありませんので、人材をローテーションする必要がありません。

 ただ、例外的に支店を複数持っている事務所等では場合によっては「異動」といったものがあるようです。もっとも、これについてはよく言われるような人材のローテーションというよりは、そのポジションへの不足を補うといった側面が強いように思います。そして、これについては、特に何か定期的なものといったわけではありませんので、時期的な規則性もあまりないようです。

2 裁判官

 裁判官についてですが、皆さんが思われているとおり、規則的かつ相応の頻度で「異動」が行われております(全国転勤だと言われております)。一般に3年程度で異動があると言われております。ただ、裁判官の退職で人材に不足が生じた場合などは、それより早い異動もままあるようです。この異動の期間については、あまり期間が長いと紛争当事者・代理人などと関係性が親密になりすぎることを理由とするなどと言われておりますが、個人的に、相当数の裁判官と接してきましたが、そのように思われる事がないよう常に意識されているように感じました。

 裁判官の異動で興味深いのは、いわゆる事件を裁くいわゆる裁判官以外にも「法務省」の職員として働かれることや法科大学院の教授、国側の代理人など多種多様の職務をされることが多い点です。もし興味がおありでしたら、裁判官の経歴を見られて見てください。お仕事の多様性を垣間みれるかもしれません。

3 検察官

 検察官についてですが、概ね裁判官と同様です。

 検察官の異動としては、よくテレビなどで見られる検察官の仕事以外にも国側の代理人として働くことや行政職、法教育の関係で発展途上国に法律を教えることなどもあるようです(これは現に知り合った検察官が経験されたお仕事であり、お伺いした際は驚いたのと久しぶりに民法をやることに大変だったなどどと言われていたことも印象に残っております)。

4 その他の職員の方々

 裁判所や検察庁の職員の方々も異動があるようです(ただこちらは裁判官や検察官と違って全国転勤というわけではないようで多くの公務員の方と同じようです、他方で家庭裁判所の調査官は裁判官と同じような異動のようです)。多くの場合、部署の変更等が多いような印象を受けますが、詳細までは分かりません。異動をされても滞りなく仕事をされており、適応能力の高さに驚くことが多いです。

5 まとめ

 以上のように、裁判官や検察官は異動が非常に多く、異動までその土地に住んだこともないかは少なくありません。したがって、そのような方々が地名を間違えたり、位置関係が分かってなかったとしてもあたたかく見守って頂けますと幸いです。

 本コラムを書きながら、全国を周り色んな経験をできるとはいえ、異動の大変さに改めて思いを馳せたところでした。また、異動の多い方などは、面談の際に色々と思い出話を聞かせて頂けますと幸いです。

keyboard_arrow_up

05058052936 問い合わせバナー 法律相談について