本件は、兄弟間で関係性がこじれてしまった事案です。
どのように解決するか思案に思案を重ね結果として、幸いなことに依頼者様に満足いく内容になりました。
このページの目次
1 ご相談前の状況
ご依頼頂いた時には、相手方が被相続人の面倒(主に介護です)を一手に見てきたこともあり、何が何でも自分がほとんどの財産を取る財産を全部取得する勢いの相手方との協議でした。
とりあえず、弁護士が入ってどうなるか試しましょうとの話でご依頼頂き、早急に協議の連絡をすることになりました。
2 当初の状況
私がご依頼を受けた後、まず話し合いの余地を探して一旦柔軟に話をしたい旨の連絡をさせて頂きました。その結果、早急にご連絡を頂けたのは良かったのですが、結果はご本人らのお話のとおり、ほとんど全体を取ることを目的、むしろ取って当たり前のような対応の方でした。こちらの意向としては、法定相続分による解決を提案したところ、失笑され、当時の私はどう進めるか考え直す必要があるなとその段階で道筋を考え直さないといけない状況に追いやられてしまいました。
3 方針転換後の対応
これは、ご本人とは協議できないと早期に切り替えたのを今でも覚えております。
その状況で、相手方が代理人を就けるか否か正直分からなかったので、多くの場合、早期に法的手続に移行させることが多いです(本件のような事案の場合は遺産分割調停です)。
ところが、本件は依頼者様が可能であれば、早期解決を優先したい多少の譲歩は全く問題ないから早期解決を優先して欲しいとのことでした。
私としては、このような場合にいかに他の手段を示せるかが弁護士としての腕の見せ所と考えており、それでは相手方に弁護士が就く可能性に賭けて法的な専門性の高い書面を作成して送付しましょうと依頼者様と相談し、そのような方針に決定しました。実際の内容としては、実務の対応を相手方に伝え、今後それを前提に進めたい旨、相手方主張の不合理性を法律論に沿ってご説明差し上げる書面を作成しました。
そうしたところ、相手方もこちらの思惑が功を奏したのか、弁護士に依頼し、そこから幸運なことに相手方に就いた弁護士と建設的な協議ができました(就いた弁護士が協議解決に理解を示してくれたのも依頼者様の日頃の行いが良かったのか幸運に恵まれておりました)。
こちらの本人らが早期解決を強く望んでいたこともあり、多少譲歩することになりましたが、ご本人らもこのスピードでこの内容であれば、全くもって満足といって頂いたことをよく覚えております。個人的にはもう少し粘りたかったのですが、ご本人のご意向を踏まえて、そのような解決になりました。
4 弁護士中村より本件を振り返って
この事案については、相手方に弁護士が就いたことでスピード解決に繋がりましたが、これも後から振り返ると戦略勝ちだと思っております。
まず、早い段階で相手方弁護士の対応を確認できたこと、ご本人の意向を早期の段階で確認できそれを踏まえた交渉ができたことなど、色々と交渉の面で有利な点はあったと今振り返って思います。
このように何を目指すのか、どういう対応を心がけるのか常に意識するのが私の事件処理方針になりますので、十分な意向を確認の上進めさせて頂きたいと考えております。
兵庫県にお住まいの方、遠方にお住いの方も弊所はオンラインで対応しておりますので、ぜひ一度気軽にご相談のご連絡を頂けますと幸いです。