本件は、過去に遺産分割事例でお伝えしたものと近くなりますが、書面を送ったが返答がなかった事案についてです。
結論としては、申立人として対応しておりました依頼者様が全ての相続財産を取得することになりました。結果として、文句のつけようのないものでしたが、経過についても興味深いものであると感じております。返答がない相手方との遺産分割の一つの解決案として、見て頂けますと幸いです。
なお、本事案に限らず私が紹介している解決事案は実際の内容から一部変更した上でご紹介させて頂いております。
このページの目次
1 ご相談前の状況
本件は、依頼者が頑張って連絡していたようですが、全く相手方との連絡がとれないといった状況でした。戸籍、住民票を取得し、そこから判明したところに送付したようですが、返答がなく、どうしたものかといった状況でした。
2 ご相談時の状況
ご本人としては、どうにも進まない遺産分割につかれており、何とか早く進めたいとお話されておりました。
私としても、協議がこれ以上進まない以上、早い段階で調停に進めた方が良いと考え、そのことも含めて裁判所に伝えましょうとお話し、その進行に納得頂き、一緒に事件を進めることになりました。
3 解決に向けて(調停に代わる審判での解決)
ご依頼頂いた後、早々に遺産分割調停を申し立てられるよう事務員と一緒に急ぎ対応しました。なかなか相続関係が複雑でかつ現在のように広域戸籍交付制度も始まっておりませんでしたので、戸籍取得等に時間が掛かってしまったのを覚えています。
戸籍さえ取得すれば、それほど時間はかからず、調停の申し立てを行い、期日指定がされました。その後ですが、第1回期日までにこれまので協議の様子として、相手方から何ら対応がなく期日において出頭しない可能性も十分ありうることを裁判所に申立書と一緒に送付しました。
それが影響したかは、裁判所から聞けたわけではないので分かりませんが、第1回期日に相手方が来なかった段階で、調停に代わる審判を裁判所が出すことになり、そのまま確定することになりました。調停に代わる審判は、裁判所案として出すものであり、双方から2週間異義が出なければ確定するものです。
以上のように、相手方から連絡が一切なかったのですが、無事遺産分割を終えることが出来、それをお伝えした際の依頼者様及び窓口の息子さんの安堵した様子は今でも鮮明に覚えています。
4 弁護士中村より本件を振り返って
私の感覚として、協議で連絡してくれない相手方に対して、あまり時間を取り過ぎても時間だけがかかることが多いです。ですので、できるだけ早く法的手続きを進めて、その中で裁判所の判断をもらうのが良いのではというのが私の考えです。それこそ、連絡の取れない事案でかつ協議をしようとしたことを十分に伝えるとそのことも配慮して、例えば本件のような調停に代わる審判という形で解決ができるよう尽力してくれることも少なくありません。もちろん担当の裁判官の考えによるところも多く何とも言えない面もあります。ただ、少しでも依頼者様の考えに沿った形でできることを行うというのが私の考えですので、依頼者様と様々な手段を踏まえて、動いていきたいと考えております。
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