不倫を会社に報告するのは違法?|慰謝料請求が不利になる理由を弁護士が解説 |神戸で離婚・不貞の慰謝料請求の弁護士相談【中村法律事務所】

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不倫を会社に報告するのは違法?|慰謝料請求が不利になる理由を弁護士が解説

「不倫相手を会社に報告してやりたい」

怒りや裏切られた気持ちから、そう考える方は少なくありません。

しかし実は、その行為自体が違法行為(名誉棄損や不法行為)とされ、逆にあなたが訴えられてしまうリスクもあります。

本記事では、会社への報告がなぜ違法となるのか、そして合法的に不倫問題を解決する方法を弁護士が解説します。

 

不倫を相手方会社に言うのは違法です(法律で許容されません)

刑事上の責任(名誉毀損罪・脅迫罪)に問われる可能性があります

相手方の名誉を棄損するという意味で名誉棄損罪(刑法230条)、相手方の会社に伝える等の相手方に害することを前提とする交渉を過度に行うと脅迫罪(刑法222条1項)にもなりかねません。

民事上の責任(不法行為による損害賠償)

会社への報告は、不法行為(民法709条)を構成します。あなたが損害賠償請求を行えるところが逆に損害賠償請求の対象になりかねません。

 

会社に報告しても意味がない理由(おすすめしない理由)

会社は不倫を理由に解雇(処分)できない

日本の法制度は労働者を十分保護しており、よほどの事由がなければ解雇はできません。不貞行為をするために会社の就労を満足にしないであったり、職場で性交渉を行うような重大な違反があればともかく、就労時間外に不貞行為をすることであれば労働者としての側面では問題ないとみる可能性が高く、解雇される可能性は限りなく低いです。もっと言うと、解雇自体が「違法」と評価される可能性が高いです。

また、私生活上の行為を理由に処分するというのはたとえ、解雇まで行かなく減給でもかなり難しいのが正直なところです。理由としては、業務と直接関係がないためです。ケースとして、車内で浮気をしてかつ会社の懲戒事由に該当するといった点までのことが必要で、その対処について会社も違法とならないよう相当意識しないといけないポイントがあります。

報告によって交渉が難航するリスク

私であれば、このように強引な方法をとる相手方であれば、場合によっては、請求されている状況でも裁判を起こして、早期の解決につなげることも考えます。実際に交渉しても交渉とは別のところを理由として、金銭請求をする方と話をするのは難しいですので、こういった方法を考えざるを得ません。裁判では、●万円を超えて債務は存在しないといったような請求も認められております(債務不存在訴訟と言われております)

請求する側としても、早期に金銭を取得したいのは間違いありませんので(その他訴訟費用がかかる上、裁判になると証拠の精査が必要になります)、交渉に対応してもらえなくなることは大きなデメリットかと思います。

損害賠償額が減額されることもある

裁判所の基本的な考えとしては、会社への報告等を必要な行為と考えておらず、一種の報復的行為として金額を減額させる傾向にあります。この点はある種類型化された減額事由とされております。

また、単に減額事由にされるに留まらず、それ自体不法行為という形で請求権を認める傾向にあります。特に行為内容がひどい場合は、それ自体で「反訴」(被告側から請求を求めて裁判を行うというものです)をすることも少なくなく審理の対象となります。

 

正しい権利行使の流れや方法

弁護士に相談して法的に進めるメリット

どういった手順で進めるべきか、相手方に何を求めたいかといったことを親身に考えてくれる弁護士(法律事務所)であれば対応を一緒に考えることが可能です。例えば、離婚しない前提で自己の配偶者と接触禁止を求めるのであればそのことを合意書に記載しかつ接触したことに対する違約金条項及び再度の不貞行為に対する高額の違約金条項について記載することも想定できます。

 

弁護士に相談の上、対応を検討するとなると自己の気持ちが先行することを防ぎ、例えば2度と配偶者に会って欲しくないといった目的を達成するために何をすべきかといったことを考えることができます。その意味で前述のように違約金で威嚇といったことを検討することができます。他方で、ある程度ご自身に有利な条項をつけるのであればどのような経緯で作成したのかといったところも場合によって、裁判所は関心を示してきますので、問題ないのかといった視点で確認することが必要です。実際に当初の合意が無効といった判断が出ることも少なくはありません。

 

自力救済が不利になる理由

相手方がしっかり対応しないから会社に言ったであったり相手方両親に連絡したといったことを述べることも少なくありませんがそれ自体決して正当化されるものでありません。特に、裁判所は、自力救済(実力行使を用いて権利実現すると理解して頂ければと思います)に対して抵抗を示すことがあり、和解や判決で不利に扱われる可能性があることはご理解頂ければと思います。

 

仮に相手方が対応しない場合は、弁護士への相談や民事調停(裁判所を使ったお話合いです)や少額訴訟等をご検討されることをお勧めします。

 

会社報告以外の現実的な解決手段

接触禁止条項を設ける

相手方と配偶者と接触されることに強い抵抗があるのであれば、これをしないことを約束させかつ違約金条項を付与することが現実的な方法です。そうすることでかなり接触恐れは減少することになるかと思います。

もちろんこの上でも相手方に真意の意味で納得した上でなければ合意を反故にされる可能性があるに留まらず、合意自体不当なものといった判断になりかねません。

 

強引な方法で締結した合意はそもそも相手方にもそれを守るモチベーションが高くないので、そういった面でもお勧めできません。

 

連絡禁止条項を設ける

広い意味で接触禁止と重なる部分も少なくありませんが、合意の段階で連絡手段を例示した上で、それを禁止するといった方法で記載することも少なくありません。そうすることで、相手方自体も自覚することになり、それが守られる可能性が高くなります。

 

謝罪文言を合意書に明記する

本件はどのような行為を通じて、何が精神的苦痛であったのかといった部分を整理することも方法としてはありうるかと思います。そのことで相手方が自覚し、それに就いて謝罪をするといった形で侵害された点についての一種の整理ということもできるかと思います。

ここで、例えば、令和●年●月●日に相手方から連絡し性交渉を行った件について謝罪するといった内容を記載することも少なくありません。こうすることでしっかりと事実関係を明記することができることになるかと思います。

 

よくある質問

Q会社に報告することからの一番のデメリットはなにですか。

交渉上の弱みを作ってしまう点です。

 

何かにつけて、不当行為を行った等述べられるとそれ自体弱みになりますし、ご自身にとってデメリットしかありません。また、そもそも慰謝料請求の部分になってくるとかなり相場にばらつきがある(もっと言うと裁判官によって金額の前後が大きい)ので、このような弱みがどう考慮されるか不透明な部分があるのでそれ自体でも注意が必要になってきます。

その他、交渉での早期解決の芽を摘んでしまうのも大きなデメリットかと思います。

 

Q実際に不法行為とされた事件はありますか。

 

あります。

 

裁判例で、被告(不貞行為をしてしまった方)からの請求を認めている事件も存在しますし、少なくありません。

 

Q匿名の形で電話やメールであれば良いですか。

 

お勧めしません。

 

あなたが会社に報告したとは直ちには特定されないかもしれませんが、結局あなたによる連絡と分かる可能性は低くないですし、分からないからといってやっていいものではないというのが私の考えです。

 

解決事例

受任前

この相手は、過去にも同様の性交渉を行って発覚後謝罪したにもかかわらず再度行っており許せない、会社に言って部署を代えてもらっても良いかといった相談がご依頼のスタートだったと記憶しております。それをするより今後意味のある合意をしましょうといったお伝えをした上で(接触禁止条項等)、その点に納得頂き、ご依頼頂きました。

受任後

まず、相手方に事実関係を詳細に整理して、過去このようなことがあり、それを約束していたにもかかわらずまた相当長期間不貞行為をやっていますよねといった趣旨の書面を作成の上、相手方に送付したところ、相手方にも弁護士が就きました。

その弁護士と事実関係の整理等を交渉の中でやっていき、あまり事実関係の認識に相違もなかったので、こちらの依頼者様の要望(職場を除く直接の接触禁止、連絡禁止、具体的事項を含めた禁止事項、今後の接触に対する違約金条項)をお伝えしてその内容で合意が可能か確認しました。

 

そうしたところ、相手方代理人も再度の不貞行為(特に次回がないことを前提に当時請求をしなかったという前提で終えておりました)の経緯も踏まえて本人を説得すると言ってくれ、実際に説得してくれたようで、合意に至りました。

本件を振り返って

過去に1度不倫があり今後しないことを前提にその時点では金銭の支払いを受けていなかったこともあり、当時依頼者の怒りは相当のものでした。それこそ面談時には明日にも会社に連絡をといった状況でした。何とかその場では、そのことに対するメリットが少ないことをお伝えした上で、理解して頂け上記のとおり進行しました。

 

結果として、相応の慰謝料の支払いを受けることができかつ今後同様のことが無いように違約金条項まで付した上での合意ができたのでやれることをやって頂けたと言って頂けました。

 

まとめ

一時の感情で会社に報告するという気持ちも分からなくはないですが、それによるメリットは正直あまりありません。他方で、交渉上不利になるであったり損害賠償金額にマイナスの影響が出たりと不利益はある程度想定できてしまいます。

一度アクションを起こすうえで何がベストか弁護士に相談した上で決められることを強くお勧めします。

あなたの悩みをお伝え頂ければ、ご自身の事案に該当すると言えるような類似の解決方法のご紹介であったりをできるかと思います。

 

一緒によりよい解決法を考えられればと思いますのでお気軽にお問い合わせください。

 

この記事の監修者

代表弁護士 中村 誠志弁護士 (兵庫県弁護士会所属)

NAKAMURA SEIJI

弁護士登録後、全国に支店のある事務所で4年程度勤務弁護士として執務しておりました。その際には、相続、慰謝料請求、離婚、監護権争い、労働審判、建築訴訟、不動産売買、消費貸借、契約に基づく代金支払い請求、交通事故、顧問先様の契約書チェックや日頃のご相談といった具合にそれこそ多種多様な事件に対応してきました。このような多種多様な事件の中で私が一貫して考えていたのは、対応方針、案件を進める方針に納得して依頼して頂くことでした。私自身、方針を明確に示さないこと、それに対して十分なご説明をせずご依頼頂くことはお客様にとって不誠実であると考えておりますので、その点に焦点を充てさせていただきます。また、方針の決定に際しては、お客様のご意向(金銭的補償に重点を置きたいのか、早期解決に重点を置きたいのか、違う部分に重点があるのか)が特に重要と考えておりますので、それについてご意向を反映させた方針を共有させて頂きたいと考えております。

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