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別居は何年で離婚できる?裁判所が認める期間の目安と注意点を弁護士が解説

別居は何年で離婚できる?

 

裁判所が離婚を認める別居期間の目安は、おおむね3年程度とされています。

ただし、婚姻期間や同居期間、別居の理由によっては、これより短くても離婚が認められる場合もあれば、長くても認められないケースもあります。

 

本記事では、

 

別居による離婚とは何か

 

裁判所が認める別居期間の目安

 

家庭内別居や単身赴任の場合の扱い

 

別居から離婚までの手続きの流れ

 

など、弁護士の視点で具体的に解説します。

早く離婚を実現したい方は、戦略的に進めるポイントも押さえておくと安心です。

 

目次

別居による離婚とは?

離婚の種類(協議離婚・調停離婚・裁判離婚)

広い意味での合意離婚は、相手方から合意を得ることで離婚するという意味で裁判所から離婚事由の存在について認定を受けなくとも離婚は可能です。他方で、裁判離婚になると離婚事由の主張が必要になります。

 

裁判離婚で必要となる離婚事由とは

離婚事由とは、相手方が離婚について争ってきた場合、離婚を認めてもらうために必要な要件です。

双方で離婚についての合意ができていれば特に離婚事由は要りませんが、相手方が争ってきた場合に備えて、離婚事由が本件で存在するかを常に確認しておくことが重要です。

 

別居期間は裁判法理で確立された離婚事由です

みなさまがご想像される離婚事由に、不貞行為(民法770条1項1号)があります。

不貞は、離婚事由そのものなのですが、一定期間の配偶者との別居は法解釈から生まれた離婚事由です。

 

別居期間が根拠にするのは、「その他婚姻を継続し難い事由」(民法770条1項5号)であり、その法律の解釈の一つから生まれたものになります。

 

裁判所が離婚を認める別居期間の目安

最近の傾向は「おおむね3年」

裁判所の最近の判断の傾向は、もちろん種々の考慮要素を前提に判断しておりますが、大きな傾向として、現状では、3年程度を目安にして実際の婚姻期間であったり同居期間であったりを踏まえて調整していると思われます。

 

過去は「5年以上」が必要とされた理由

裁判所は、これまで別居期間について少なくとも5年程度の別居を求めていたようですが、現在の社会情勢を踏まえて上記3年程度で離婚を認める傾向にあるとされています。

 

別居期間を一般に充足しても離婚を認めない事案もあります

少し特殊な事案ではありますが、夫側が単身赴任中に子二人の監護及び自身の父の介護を任せたまま弁護士からの書面を送り、別居期間充足を待って裁判手続きを進めたという事案について、別居期間が7年に及んでおりましたが離婚は認めませんでした(東京高裁平成30年12月5日判決)。

このように極端な姿勢をとると、裁判所は別居期間の充足をもって離婚というような判断をしないということも念頭においておくことが重要です。

 

裁判所が認める「別居」の定義

裁判所が考えている別居は、婚姻関係破綻に伴う別居でかつ物理的離隔を伴うものであるとされております。この別居の時点からの期間で婚姻関係の破綻の有無を判断することになります。

 

家庭内別居は「別居」と認められない?

みなさまがよく言われる家庭内別居について、基本的に裁判所は別居とは考えておりません。

 

単身赴任の場合は別居となるのか?

婚姻関係の破綻がないので、単身赴任による別居も婚姻関係破綻の別居とはとらえておりません。

 

別居期間を踏まえた離婚手続きの流れ

交渉段階でのポイント

交渉で離婚が成立するに越したことはありません。もっと言うと、離婚したいと思われる方は多少の金銭的条件よりも早期に離婚を進めた方が良いと思われます。

 

そこでなるべく交渉段階でこちらの離婚したいと考えている理由をしっかり伝えて、その上で再度の生活は考えられないということを伝えるべきかと思います。また併せて法的手続きを進めるとお互いの負担が重くなることが多いのでその点も併せてお話するのが良いかと思います。

 

調停段階での注意点

調停も結局のところ裁判所を利用しての話合いです。ですので可能な限り調整を図ることができる方が良いのではと個人的には思っております。

 

調停が協議と違うのは、裁判所であったり調停委員会という第三者が入りますので、調停外での協議と異なり相手方が受け容れやすくなる可能性が高いです。また、この後裁判が想定され、そうなると弁護士を就けないといけない可能性が高くなること、この時点で一定期間の別居になっている可能性もあり、その点も含めた話が調停委員会からなされると、相手方も応じることが少なくありません。

 

訴訟段階で裁判所がみるポイント

裁判になると、当然訴状(裁判所に最初に出す書面です)の段階で別居期間につての記載をはじめから行い、裁判官もそれを確認しております。そうなると、多くの場合、裁判所としても離婚を認めるつもりかそうでないかといった考えを持って進めることになります。

 

これを裏付けるものとして、既に3年別居している事案で訴訟提起したところ、第一回期日前に相手方弁護士に意向確認しておりかつ初回期日でもその調整を試みてくれました。結果、この事案は相手方本人の思いが強く、判決に至りました。

 

あくまで、私の経験ベースになりますが、訴訟提起段階で別居して言って期間たっていればある程度和解の調整を行うことが多い印象です。一人の裁判官が言っていた言葉を引用させて頂くと、「今回仮に請求棄却になっても、しばらく経てば請求が認められる可能性が高いので一回的解決の観点で調整してはどうか」といったものでした。確かに、別居期間は必然的に積みあがってしまいますので裁判官の仰るとおりだったと私自身も思っております。

 

実際、訴訟になっても主張反論を繰り返すとかなり時間が掛かりかつ控訴されるとまた時間が掛かりますので折り合いがつけるのであれば和解で双方調整すべきであると思いますし、そうなるように話を進めた方が良いのではと思うところではあります。

 

別居中で進展がない方は早期での弁護士相談・依頼することにメリットがあります

スムーズな進行が可能

何をどうするかが明確になるので常にご自身で悩みながら進めるということが無くなります。

その上で、この期間は相手方にこのような話をしてみましょうと具体的なお伝えができるかと思います。

そう意味で考えを整理し、スムーズに進行できるので弁護士へ相談する意義はあるかと思います。

 

離婚訴訟を見据えた進行が可能

調整できればこれをする方が早期解決に繋がるのでその方がよいのは間違いありませんが、相手方が応じない場合、いつでも訴訟を行うというスタンスを持てることはいつまでも相手方の引き延ばしや釈然とした回答に付き合わなくてよいという面でも大きいと思います。

 

実際に、裁判となると弁護士に依頼しないと厳しいと思います。そういった中で、いつでも依頼できる、依頼して裁判に移行できる中で進めるのは進行する上でかなりメリットがあるかと思います。

 

判断が円滑

途中から依頼をお受けする事案も少なくないのですが、相当回数調停を進められており、相手方が明らかに応じるつもりがない中何回も調停を重ねているという事案も少なくありません。

結局結論を述べない相手方と調停を繰り返しても無駄ですので、どこかでこれ以上の話合いができないという判断をする必要があります。その点についても、なかなか慣れない中では難しいと思いますので、弁護士の助言を受けることは有意義であると思います。

 

私の事案では、多くの場合相手方が引き延ばしているなと感じた場合は、最終案を整理の上提示し、応じないのであれば不成立にすることもままあり、調停を何度も繰り返すよりは早期に解決できることが多いという印象を受けます。

 

相手方に弁護士が就く可能性もあります

多くの弁護士は感情論でなく、依頼者さんの今後の生活等を踏まえてよりより方向に向かう方法は何かを模索して、解決の方法を考えることになるかと思います。その観点からして、相手方に弁護士が就き、その意味での話合いができればかなり早期に話し合いが進展し、解決に至ることも少なくありません。

 

また、それなりに同種事案で経験のある弁護士同士の協議であれば、裁判になった際の見通しを前提に協議できるのでその意味でも早期解決が実現できる可能性が高いです。

 

依頼した場合は、自分の本気度を相手方に伝えることができる

言うまでもありませんが、本気で離婚したいわけでなければ弁護士に依頼しませんので、そういう意味で相手方に本気度を伝えることができるというのも大きなメリットになるかと思います。

 

別居を始めるときの注意点

財産分与のために相手方財産の把握

同居中はある程度相手方財産を把握できますが、別居してしまうとかなり困難になりますしかつ後の手続で探索的に財産調査することを裁判所は許容しません。ですので、別居するに際して相手方預貯金情報、株式情報、保険情報等を可能な限りは把握することが重要です。

 

必要な荷物は別居時に持ち出す

別居したとしても一度自宅を出ると簡単に荷物を取りに戻ることはできません。ご自身の必要な荷物や思い入れのあるものは可能な限り一緒に持ち出すことをお勧めします。

 

別居すると自宅取得に影響が出る

あくまで一事情ではありますが、離婚における審理終結時点でどちらが自宅に居住していたかという点も双方が自宅取得を希望した際の考慮事情にはなります。

 

子どもを置いて出ると親権取得が困難になる

裁判所が現状の監護形成の事情を見てきますのでおいて出ると親権取得は相当困難になりますのでその点は考慮する必要があります。

 

よくある質問

Q3年より短い事情で離婚が認められることはありますか

 

あります。

 

実際の裁判例でも同居期間が3か月程度で別居期間が判決時点で約11か月という事案でも離婚を認めております(神戸家裁・平成15年5月30日判決)。

この点からも、同居期間と相対的に見ていると思われますので3年はあくまで一つのメルクマークにされる方が良いかと思います。

 

Q別居して3年以上の長期間別居が続いても相手方が拒んで裁判迄進むことはありますか

 

あります。

 

割合としてもそれなりにあります。

離婚したくないや離婚の条件面でという場合もあります。

ある程度解決が見えていても自分で離婚に応じたくないという層は一定数います。

 

Q弁護士に依頼することで早期進行しますか

 

はい。

 

手続に区切りをつけることができますので早期進行が期待できます。

 

Q有利に別居を進める方法はありますか

 

はい

 

例えば、事前に財産関係の把握を行うであったり、手続の準備をしておくであったりのもの以外にもご自身が「不利」にならない上で、メール等でのやり取りの証拠を残すことなどがあげられます。また、「悪意の遺棄」と評価されないためにここまでは最低しておくべきといったアドバイスも具体的にできるかと思います。

 

Q特に早期に別居した方が良い場合はどんな場合ですか

 

一番は、相手方によるDVの場合です。

身の危険がありますので一刻も早い別居をお勧めします。

 

その他、モラハラや浮気・不倫・生活費をくれないといった理由で離婚を決意されており、相手方が離婚に応じないのであれば早期の別居を検討すべきです。

 

Q相手方の同意なく別居しても大丈夫ですか

 

問題ございません。

 

もっと言うと、ご自身が離婚をしたい。相手方が離婚したくないといった状況で別居に同意してくれることはないかと思います。

ご自身が離婚について強い意思をお持ちであれば、別居を検討されることを強くお勧めします。

 

解決事例

受任前

相手方の言動が耐えられず、相手方と一刻も早く離婚したいが、応じてくれないという女性の方からのご相談でした。この方自体、公務員で安定収入もあったので、とにかく離婚をというご意向であったので、最後に弁護士に依頼するから応じるかを申し出てそれで無理であれば一緒に頑張りましょうというお話をお伝えして、進めることができなかったのでご依頼頂くことになりました。

 

受任後

この方については、別居期間もあまり期間が無かったのですが、婚姻期間自体も短く、同居期間と別居期間が同程度でした。

よくある質問で挙げたように、同居期間と別居期間が同程度であれば、離婚が認められることが少なくないので、当時同様の裁判例を調べて、3つ4つはそのような裁判例を見つけ、それを前提に裁判迄行くとこのような判断になりかねないし、依頼者さんの決意は固いので応じないのであれば法的手続きを進めざるを得ないといった内容の書面と応じるのであれば離婚届を返送して欲しい旨記載したものを送付したところ、離婚届の返送があり無事解決に至りました。

 

本件を振り返って

この事案の勝因は、実際の見通しを踏まえてこちらの本気を分かってもらえるかというところでそこを分かってもらえた点かと思います。特に離婚においては相手方さんにも納得してもらった方が早期に進行して結果的には依頼者さんの為になるとおもっており、それがこのような結果になったので、私としても良かったと思っております。

 

まとめ

別居期間は大きな離婚の要素ではありますが、それに依拠しすぎることは危険ですし、そのような考えを裁判所も非難しております。

 

別居するぐらい離婚の意思が固いのですからしっかりと戦略を立てて、早期に離婚を実現できるよう弁護士に相談されることを強くお勧めします。

この記事の監修者

代表弁護士 中村 誠志弁護士 (兵庫県弁護士会所属)

NAKAMURA SEIJI

弁護士登録後、全国に支店のある事務所で4年程度勤務弁護士として執務しておりました。その際には、相続、慰謝料請求、離婚、監護権争い、労働審判、建築訴訟、不動産売買、消費貸借、契約に基づく代金支払い請求、交通事故、顧問先様の契約書チェックや日頃のご相談といった具合にそれこそ多種多様な事件に対応してきました。このような多種多様な事件の中で私が一貫して考えていたのは、対応方針、案件を進める方針に納得して依頼して頂くことでした。私自身、方針を明確に示さないこと、それに対して十分なご説明をせずご依頼頂くことはお客様にとって不誠実であると考えておりますので、その点に焦点を充てさせていただきます。また、方針の決定に際しては、お客様のご意向(金銭的補償に重点を置きたいのか、早期解決に重点を置きたいのか、違う部分に重点があるのか)が特に重要と考えておりますので、それについてご意向を反映させた方針を共有させて頂きたいと考えております。

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