浮気・不倫の慰謝料相場は?~事例を踏まえた金額を弁護士が解説~ |神戸で離婚・不貞の慰謝料請求の弁護士相談【中村法律事務所】

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浮気・不倫の慰謝料相場は?~事例を踏まえた金額を弁護士が解説~

この記事の要点

 

  • 不倫(不貞行為)では、配偶者・不倫相手の双方に民法709条の不法行為責任が生じ得る
  • “裁判を見据えた”相場は、配偶者のほうが高く、不倫相手は低めになりやすい(一次・二次責任の考え方)。
  • 離婚の有無が金額に強く影響。離婚あり=高め、離婚なし=低め。
  • 求償権(不真正連帯債務)**の存在が実務上の肝。6:4〜5:5の内部負担想定→放棄と引換の減額交渉がありうる。
  • 芸能人案件や「どうしても裁判回避」ケースは相場から外れるほど高額な金額で和解することがある。

 

浮気・不倫の慰謝料とは

浮気・不倫(法律上、「不貞行為」と整理することが多いです)については、これをされてしまった配偶者は、他方配偶者及び浮気相手に対して、民法709条に基づく損害賠償請求権を有するとされております。

そして、この慰謝料について、例えば傷害による「慰謝料」等はある程度の確立した判断基準があるのですが、個々の裁判官によって少し変動がありいわゆる「相場」にばらつきがあるイメージです。そういう側面があるので、ポイントのみの主張に留まらずしっかりというべきことを言っておく必要があるというのが、私の考えです。それを踏まえ、相場についての考えを以下でお伝えします。

 

不倫慰謝料の相場

相場の前に~相場から外れる解決場合のご紹介~

よく芸能人やスポーツ選手の不貞行為の場合で、以下で説明する相場からかけ離れた金額で合意することも少なくありません。それについては、基本的に、裁判での解決に沿ったものでないというのが端的な回答になります。芸能人やスポーツ選手は、様々な理由で裁判をされたくない事情があること等から相当の金員を支払っているにすぎず、一般の相場とは離れていると考えて頂ければと思います。

これにリンクして一方当事者が裁判を何があってもしたくない場合、また一方当事者が裁判をしたが尋問手続きをしたくない場合等は、相場から離れた解決になることも少なくありません。

 

いわゆる裁判を見据えた解決の相場について

過去の裁判例で、裁判所が明示しているのですが、不貞行為において、他方配偶者が一次的な責任を負いその交際相手は二次的な責任を負うとされております。以上の観点で、「慰謝料相場」という点でも対配偶者の金額が対交際相手より大きくなる傾向に強いというのが私の実感です。

また、その他不法行為として整理される本件のような事案においては、結果が特に重視されます。その意味では、離婚したか否かによって金額面が大きく変わると考えて頂いてずれがないかと思います。

不倫慰謝料 相場早見表(実務感覚)

請求相手 離婚の有無 目安金額
配偶者 離婚した 200万円前後(±50万円)
配偶者 離婚しない 150万円前後(事例は多くない)
不倫相手 離婚した 100万円前後(±50万円)
不倫相手 離婚しない 100万円超は稀

 

対配偶者

離婚した場合

概ねですが、200万円を中心に±50万円前後になることが多いかなといったイメージです。よほど特別な加算事由(交際相手が妊娠した場合等)や減額事由(認定される不貞行為の時点より前から婚姻関係悪化を示す事情があった等)がなければ概ね上記の範囲に収まることが多いというのが私の印象です。もっとも、悪質な事案では、300万円を超えることもなくはありません。

離婚しなかった場合

現実問題、夫婦間で離婚しなかった場合慰謝料請求に進展することが少ないのですが(法的に整理するということはなく弁護士の知らないところでの解決や離婚の際に全体を解決ということが多いです)、親権について争いがありこの部分のみの整理を行うというような場合は、150万円前後に収まることが多いですが、それほど事例が多くない印象です。またこの場合は、配偶者に通常請求する離婚慰謝料の請求ができないのでその意味でも金額が下がってしまう可能性が高いです。

 

対不倫相手

離婚した場合

あくまで一般的な不倫相手に対する請求を念頭に置くことになりますが、100万円を中心に±50万円といったところかなと思います。ただ、現状の裁判実務では、欧米等の考えを踏まえて(欧米の考えでは不貞行為の責任は専ら配偶者にあるとされているようです)、不貞相手の責任を限定的に考える傾向が強いです。それに加えて、後述するように、場合によっては、共同不法行為者である不倫相手に求償権として、半分もしくはもう少しの負担を求めることが多いので、その関係で不倫相手の負担金額は少なくなることが多いです。

離婚しなかった場合

こちらは、100万円を超えるのはよほどの事案といったイメージです。

 

慰謝料を決める上での考慮要素

基本的な考慮要素として、以下のものが一般的に言われております。

  •            不貞行為発覚による夫婦関係悪化の影響
  •       (別居に至った、調停中、離婚したなど)
  •            従前の夫婦の関係
  •                       (円満であった、円満とまではいえない、破綻していたなど)
  •            夫婦に未成熟子の存在
  •            夫婦の婚姻期間
  •            交際期間、交際開始経緯
  •            性交渉の回数
  •            発覚後の事情
  •            報復的行為の有無

金額に特に影響を与える事情(相場に影響を与える事情)

求償権の存在

法律上、不貞関係にあった2人は共同不法行為者として、連帯して、金銭の支払いを行う関係にあります(この2人の関係を不真正連帯債務といいます)。分かりやすく言い換えると、2人で不法なことをしてしまったので、支払いも連帯して下さいというものです。

この権利があるので、一方が支払いを行えばもう一方に対して、ある程度の割合を請求することができます。上記で述べたとおり、配偶者の方が悪いと言われることが多いので6:4程度、全体の調整のために半分の責任負担として5:5のいずれかといったイメージです。

そうなると、仮に交際相手に200万円の請求をされるとなると、配偶者に対して120万円もしくは100万円程度の請求がされることになります。そして、この請求自体は法律上も理由のあるものですので(裁判をされると多くの場合認められます)、その権利を放棄する代わりに金額の減額ということが少なくありません。

不真正連帯債務者の支払い状況

前述の求償権とも少し関連しますが、2人で共同して不法な行為をしたとの関係で一方が支払った分を考慮されることになります。

例えば、離婚して、その慰謝料として、他方配偶者が150万円の支払いをしていた場合は、不貞相手の支払い義務の金額は相当減縮されることになります。

 

弁護士に相談・依頼することが良い結果スムーズな解決に繋がりやすいです

正確性の高い見立てが立てやすい

この種の事案において、相応の経験がある弁護士であればある程度の見立てが立てやすいです。そうなると、本件は求償権の放棄が必要であるからこの金額での合意を目指すといったものやこの内容であれば訴訟にいった方が良いという見通しを立てやすいという意味で精神的な負担を相当程度減らすことができるかと思います。

関連紛争のアドバイスができる

場合によっては、不貞相手への慰謝料請求と配偶者への離婚請求といった具合に複数の事案を抱えられていることも少なくありません。そういった場合、事務所によっては関連事件についてもアドバイスを受けることができますので、全体としてより解決ができる道を目指しても良いかと思います。

訴訟へ進むことも現実的な選択肢になる

これは弁護士に依頼した場合ということになりますが。ご自身での訴訟対応はなかなか厳しいですが、弁護士は裁判自体に慣れていますので、裁判に進むことも十分有効な選択肢であれば選べるようになるかと思います。というのも、慰謝料請求の事案で請求する方、請求されている方が何らかのこだわりや気持ちの問題でいわゆる相場とかけ離れた提示を続けることは少なくありません。仮に相手方に弁護士か就いていたとしても気持ちの問題やこだわりとなるとどうにもできませんので、速やかに訴訟移行しましょうということになるかと思います。そういった選択肢を持てるのも弁護士に依頼したメリットであると言えるかと思います。

 

確実に相場もしくはそれ以上での解決を目指すには

しっかりとした証拠の有無を整理する

請求側であれば、証拠があれば相手方が低廉な金額の提示を続けてきた場合は早期に訴訟提起することができますし、証拠が不確かな状況で請求されているのであればある程度訴訟提起されても問題ないことを前提に強気の交渉ができるかと思います。そういった意味では、請求する側であれば自身の証拠の有用性、請求される側であれば相手方の証拠の有無を交渉の状況等から踏まえた対応を検討すべきかと思います。

可能な限り充実した任意交渉を行う

請求する側でもされる側でも金銭請求の状況といったものは精神的に相応の負担があるかと思います。そうなると、いずれの立場でも早期解決したいという動機はあるかと思います。

請求側であっても被請求側でもあっても、任意のお話である協議段階で自分が納得できる理由を相手方から主張されればそれによって合意にするということも少なくありません。そういった意味では、任意交渉を粘り強く行うことで良い結果に繋がる可能性高いです。ただ、この場合においても、弁護士に依頼しないまでもしっかりと相談しながら対応することをお勧めします。

安易に妥協せず、訴訟を踏まえる

弁護士に相談するメリットでお伝えしましたが、訴訟になれば、基本的にはいわゆる「相場」に収まる可能性が高いです。であれば、確実に相場に納めるのであれば裁判での解決も有用な手段の一つということになります。

 

よくある質問

特に相場から離れた解決になる場合はどのような場合ですか

上記で触れた芸能人やスポーツ選手が一般に知られているところですが、それ以外の点としては、他方がどうしても裁判をしたくないや判決まで行きたくないという事案です。

裁判自体は弁護士に依頼すればそれほど大変すぎる手続ではないのですが、そのことに敬遠されることもいらっしゃいますし、場合によってはかなり時間が掛かること、慰謝料の件を考えるぐらいであれば多少増額しても早く解決しても良いと考える人も少なくないのが現実です。その他、判決する上で、尋問手続き(裁判所にいった上で事実関係の主張等をすることになります)を避けたいということになれば、何とか和解をするしかないので、相手方主張金額で整理するしかなくなってしまいます。

相場の変動はあるか

あります。

特に確立した基準(例えば傷害の慰謝料等はほとんど画一的な基準が整理されており、ある程度それに沿ったものになります)がないこの種の事案では社会情勢によっても影響を受ける傾向にあります。上でも挙げたような、不貞配偶者が一番悪いという考えが浸透してきておりますので、その意味で少しずつ不貞相手の慰謝料の金額は影響を受けるかもしれません。ただ、この種の事案は元々担当裁判官によって相当幅のあるところですので、金額面の上下が社会情勢の変動による相場の影響なのか担当裁判官の問題なのかはかなり難しいところです。

 

解決事例

受任前

ご依頼頂いた際は、配偶者が不倫をして許せないが、小さい子どもいるので離婚については今後も踏まえて検討したいというものでした。

そうなると上記で挙げたような相場になってくる可能性は伝えた上で、やれることをしっかりやって少しでもご自身の気持ちを整理するためのお金にされて下さい。とお伝えした上でご依頼頂くことになりました。

受任後

ご依頼頂いて早々に相手方へ書面を送付することになりましたが、今回の件でお子様がいる中大変な苦労をしたこと、執拗に誘ったのは交際相手であったこと、従前から婚姻していたことは知っていたことや精神的に影響を受け、病院にも通院していることを相手方に伝えました。

そうしたところ、相手方から連絡があり、謝罪及びこちらが請求していた200万円満額の支払いの連絡がありました。

解決にあたって

本件の解決にあたって、相場は相場として現状ありますが相手方にいかに分かってもらうかというところも重要であることを再認識しました。多くの場合、請求された金額等について高い低いはもちろんありますが、理由を付されてそれに納得すれば支払うことになるかと思います。

その点について、粘り強く話していくべきと個人的には考えております。

 

まとめ

相場は、裁判になった際のものとしてある程度存在します。ただ、裁判官によって変動はもちろんありますし、相手方が納得すれば相場以上や以下での解決も十分あり得ます。

結局やれることをやらないと後悔が残ると思いますのでそれがないよう十分に検討した上で進められることを強くお勧めします。

この記事の監修者

代表弁護士 中村 誠志弁護士 (兵庫県弁護士会所属)

NAKAMURA SEIJI

弁護士登録後、全国に支店のある事務所で4年程度勤務弁護士として執務しておりました。その際には、相続、慰謝料請求、離婚、監護権争い、労働審判、建築訴訟、不動産売買、消費貸借、契約に基づく代金支払い請求、交通事故、顧問先様の契約書チェックや日頃のご相談といった具合にそれこそ多種多様な事件に対応してきました。このような多種多様な事件の中で私が一貫して考えていたのは、対応方針、案件を進める方針に納得して依頼して頂くことでした。私自身、方針を明確に示さないこと、それに対して十分なご説明をせずご依頼頂くことはお客様にとって不誠実であると考えておりますので、その点に焦点を充てさせていただきます。また、方針の決定に際しては、お客様のご意向(金銭的補償に重点を置きたいのか、早期解決に重点を置きたいのか、違う部分に重点があるのか)が特に重要と考えておりますので、それについてご意向を反映させた方針を共有させて頂きたいと考えております。

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