貞操権侵害で弁護士から請求が届いたらどうする?|事実確認から対応方法・慰謝料相場まで徹底解説 |神戸で離婚・不貞の慰謝料請求の弁護士相談【中村法律事務所】

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貞操権侵害で弁護士から請求が届いたらどうする?|事実確認から対応方法・慰謝料相場まで徹底解説

はじめに:突然の「貞操権侵害」請求にどう動くべきか

「あなたの行為は貞操権侵害にあたるとして慰謝料を請求します」
こんな通知書が弁護士名で届いた場合、動揺する方がほとんどです。

  • 身に覚えがある場合
  • 相手の誤解だと感じる場合
  • そもそも貞操権侵害という言葉自体が初めての場合

いずれにしても、まず大切なのは “冷静に対応すること” です。
貞操権侵害は近年、マッチングアプリやSNSの普及に伴って相談件数が非常に増えている分野ですが、正しい手順を踏めば適切に対処ができます。

この記事では、

  • 貞操権侵害とは何か
  • まず行うべき事実確認
  • 事実があった/なかった場合の対応方法
  • 請求から裁判までの流れ
  • 慰謝料相場
  • よくある質問と注意点
  • 解決のポイント

まで、法律実務の観点から包括的に解説します。

貞操権侵害とは

貞操権とは、簡単にいうと “性的な関係を結ぶかどうかを、自由意思(真実)に基づいて判断する権利” です。

人は、相手に対する情報(独身か既婚か、交際意思があるか、結婚の意思があるかなど)を踏まえて性的関係を持つかどうかを決めます。
その判断の基礎となる事実を偽った場合、「性的自己決定権を侵害した」と評価され、慰謝料請求が認められることがあります。

典型例

  • 既婚者であることを隠し、独身と偽って交際・性交渉をした
  • 結婚の意思がないのに、あるように装って性的関係を持った
  • 真剣交際の意思がないのに、恋愛感情があるように誤信させて関係を続けた

これらの行為によって相手が精神的苦痛を受けた場合、民法上の不法行為として慰謝料が認められることがあります。

 

まず貞操権侵害の事実関係を確認してください

請求書が届いた瞬間にまずやるべきことは、
「事実関係を正確に整理すること」 です。

ここを曖昧にしたまま相手に連絡すると、

  • 言質を取られる
  • 不利な供述をしてしまう
  • 相手にストーリーを書かれる

など、後々大きな不利益につながります。

ご自身が相手に秘匿した or 誤認させる情報があったか

以下について、客観的に振り返ってください。

  • 独身か既婚か
  • 子どもの有無
  • 別居中か、実際は普通に婚姻関係が継続していたか
  • 交際の意思が本当にあったか
  • 結婚の意思について誤解を与える言動がなかったか
  • 金銭的・社会的な立場を偽っていなかったか

請求の核心は 「相手が虚偽の情報を信じ、その結果性的関係を持ったか」 です。

実際に性交渉があったかどうか

性交渉の有無は、貞操権侵害成立の大きな判断要素です。

  • 性交渉あり:貞操権侵害が認められやすい
  • 性交渉なし:成立が否定されることが多い

相手の主張と事実が一致しているか、記録・記憶をもとに確認しましょう。

 

事実関係を確認した後にすべきこと

事実関係があった場合(弁護士に相談するのが安全)

虚偽の事実を伝えた認識がある場合、対応を誤ると、

  • 慰謝料が高額になる
  • 追加請求をされる
  • 証拠を固められてしまう

などのリスクがあります。

特にやってはいけない行動は次のとおりです。

  • 感情的な謝罪LINEを送る
  • 相手に「話し合おう」と連絡する
  • 相手弁護士に直接電話する
  • 請求書を無視する

これらはすべて「自白扱い」になったり、証拠化される可能性があります。

「認めるべき点」「争うべき点」を整理し、
交渉スタンスを専門家と検討することが重要です。

 

事実関係がなかった場合(まず弁護士へ相談を)

身に覚えがない、相手の誤解、あるいは不当・過大請求と思われる場合でも、
ご自身で相手と直接やり取りするのは危険です。

理由は以下のとおりです。

  • 説明が相手にとって都合よく解釈される
  • 証拠として保存される
  • 相手弁護士が後から介入すると神経戦が長期化する
  • 不当請求であっても、対処を誤ると認めた形になる

「性交渉はなかった」「虚偽は伝えていない」という場合こそ、
正しい法的主張の組立てが重要であり、専門家の助言が欠かせません。

具体的請求の流れ

貞操権侵害の請求は、一般に次の2段階で行われます。

弁護士から請求書が届いた場合(協議段階)

あなたの元に届くのは多くが 任意交渉の通知書 です。

通知書には、

  • 金額
  • 理由
  • 回答期限
  • 今後訴訟に移行する可能性
    などが記載されています。

ここでの対応は非常に重要ですのでこの段階での弁護士への相談を強くお勧めします。

  • すぐに連絡してはいけない
  • 要求金額をそのままのまま払う必要はない
  • 事実が異なる部分は整理する

協議段階での交渉次第で、
慰謝料が1/5〜1/10まで減額されるケースもあります。

 

裁判所から書面が届いた場合(訴訟等の段階)

 

届きうる書面には以下があります。

  • 訴状
  • 支払督促
  • 調停申立書

この段階は、もう「話し合い」ではなく 法的手続が開始した状態 です。

放置した場合、特に上記「訴状」「支払督促」であれば

  • 相手の主張がすべて認められる
  • 裁判所により強制的に支払義務が確定する
    というリスクがあります。

特に訴状の場合、答弁書を期日までに提出しなければ、
全面敗訴”となる可能性があります。

裁判所からの書類が届いたら、即座に専門家へ持ち込むべきです。

貞操権侵害の慰謝料相場

 

貞操権侵害の慰謝料は、一般的に
10万円〜100万円程度
が多いとされています。

ただ、よほど悪質な事案になってくると300万円に及び事案も存在します。

金額が上がる要素は次のとおりです。

  • 既婚の事実を隠していた
  • 長期間の交際を継続していた
  • 相手が結婚の意思を本気で信じていた
  • 二重交際や複数人との関係があった
  • 性行為が複数回あった
  • 相手が精神的ショックを大きく受けた
  • 妊娠や堕胎の事実

その他事実上の考慮要素として、相手方の対応(不当な反論等)も加味されることになります。

一方、

  • 性交渉がポイント的だった
  • 誤解が生じた経緯に双方の責任がある
  • 相手側にも虚偽や挑発的な行動がある
    などの場合は大幅減額も狙えます。

特に多い貞操権侵害の類型

 

① 既婚者隠し型(最も多い)

「独身だと言われて信じていた」というタイプ。
証拠(SNS、LINE、メッセージ)がポイントになります。

この既婚者隠し形は、特にマッチングアプリでの出会いに多い印象です。

② 結婚詐欺的アプローチ型

「将来結婚したい」「親に紹介したい」などの言動で相手を信じ込ませるケース。

③ 交際偽装型

明確に交際関係でないのに、交際しているように見せかけて性的関係を持つケース。

④ マッチングアプリ・SNS虚偽型

職業・年齢・婚姻状況を偽るケースが増加中です。

⑤ 金銭・地位を偽ったケース

「会社経営者」「高収入」など収入・立場を装って関係を構築した場合。

よくある質問(FAQ)

Q1 弁護士ではなく相手本人から請求されている場合は?

本人請求でも支払い義務が生じる可能性はあります。
しかし、法的根拠が曖昧であることも多いです。

  • 金額が高すぎる
  • 事実関係が不正確
  • 証拠が存在しない

などの問題があるため、まず弁護士に相談することを強く推奨します。

Q2 特に気を付けるべきことは?(証拠対策)

貞操権侵害の請求を受けたら、以下は絶対に避けてください。

  • 不用意な謝罪LINE
  • 相手と直接会う
  • 電話する
  • 相手を怒らせる発言
  • 事実と異なる説明をしてしまう

相手はあなたの発言を “証拠化” しようとします。
静かに、正確に、慎重に対応することが不可欠です。

 

まとめ

  • 貞操権侵害の請求は近年増加しており、珍しいものではない
  • まず事実関係を冷静に整理することが最重要
  • 性交渉の有無と虚偽の伝達が大きなポイント
  • 弁護士への早期相談で、金額・方針・期間が大きく変わる
  • 慰謝料相場は10〜100万円
  • 不用意な連絡は危険、証拠化されるリスクがある
  • 裁判所書面は「即相談」が正解

 

この記事の監修者

代表弁護士 中村 誠志弁護士 (兵庫県弁護士会所属)

NAKAMURA SEIJI

弁護士登録後、全国に支店のある事務所で4年程度勤務弁護士として執務しておりました。その際には、相続、慰謝料請求、離婚、監護権争い、労働審判、建築訴訟、不動産売買、消費貸借、契約に基づく代金支払い請求、交通事故、顧問先様の契約書チェックや日頃のご相談といった具合にそれこそ多種多様な事件に対応してきました。このような多種多様な事件の中で私が一貫して考えていたのは、対応方針、案件を進める方針に納得して依頼して頂くことでした。私自身、方針を明確に示さないこと、それに対して十分なご説明をせずご依頼頂くことはお客様にとって不誠実であると考えておりますので、その点に焦点を充てさせていただきます。また、方針の決定に際しては、お客様のご意向(金銭的補償に重点を置きたいのか、早期解決に重点を置きたいのか、違う部分に重点があるのか)が特に重要と考えておりますので、それについてご意向を反映させた方針を共有させて頂きたいと考えております。

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