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離婚で損しない!年金分割と財産分与の手続き・流れを弁護士がわかりやすく解説

離婚時に「年金分割だけで大丈夫?」と不安に感じる方は少なくありません。
実は、年金分割だけでは足りないケースも多く、財産分与も含めて整理することが重要です。

本記事では、弁護士の経験をもとに、

  1. 年金分割の仕組みと種類(合意分割・3号分割)
  2. 手続きの流れと期間制限
  3. 財産分与との関係
  4. 実際の解決事例とよくある質問

をわかりやすく解説します。
読めば、離婚時に「損しない受け取り方」が理解できます。

 

離婚における年金分割とは

年金分割とは、夫婦における婚姻期間中の厚生年金の報酬比例部分を按分する制度です。注意が必要なのは、全体が分割されるわけではないということです。特に不要期間が長かった方などは注意を要します。

年金分割の種類としては、以下のものがあります。

 

年金分割の種類(合意分割・3号分割)

合意分割制度

当事者間の合意もしくは裁判上の請求(調停、審判、裁判です)で行われる制度で、後述する3号分割と異なり、加入期間をあまり考慮せず手続を行うことができます。もっとも、厳密にいうと、3号分割の対象期間は3号分割でその対象外の期間を合意分割で整理されるようです。

 

3号分割制度

一方当事者(分割を受ける者です)からの請求により、平成2041日以降の婚姻期間中の第3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる制度です。

 

年金分割の期間制限(年金分割は離婚後2年という期間制限があります)

基本的に2年間の期間制限がありますので、それ以内にしなければならないという注意が必要です。もっとも、期間が厳しい場合は、2年経過前に年金分割の申立ての調停・審判等を行うこと(言い換えると受付けてもらうこと)で期間制限を過ぎてしまったので手続を進められないということを防ぐことができます。過去に弁護士が十分に案内せず期間を過ぎてしまったということも聞いたことがありますので、しっかりと注意することが必要です。

 

年金分割の具体的な流れ

年金事務所へ年金分割のための情報通知書を取得しましょう

まず、年金分割に必要な年金分割のための情報通知書を取得することがスタートです。

協議離婚の場合(審判分割の利用)

3号分割で足りる場合は、3号分割を行いましょう。具体的に婚姻期間が3号分割で整理する期間として十分であるかをみる必要があります。

 

これに足りない場合(3号分割でフォローされるより婚姻期間が長い場合)は、合意分割等言手続が必要です。もっとも、この手続を年金事務所で行うことも可能ですが、弁護士等の代理人がいない場合は同席で行う必要があり、心理的負担もありなかなか困難です。ですので、私の経験上審判申立てを行うことが多く、その方法で合意分割を進めることが多いです。

離婚を調停もしくは裁判で行う場合

適切な申立を行うことで離婚自体の審理に事実上組み込んで手続を進めてくれます。その際に上記年金分割のための情報通知書が必要になります。

 

協議離婚後、審判で行った場合、調停・裁判で年金分割を行った場合は、取得した資料(調書等)を持参して、別途年金事務所で年金分割の手続を行う必要がありますので、注意が必要です。

その後、受給時である年金の支給を受けれ段階で分割した結果になっているという流れです。

 

年金分割と財産分与の関係

年金分割は上記で述べたとおりいわゆる厚生年金の報酬比例部分を分割する制度ですので(言ってしまうと将来の給付が変わるものです)、夫婦の婚姻期間で形成した財産を分与する財産分与とは別のものです。またこれと同様に慰謝料・養育費も影響を受けることは少ないです。

ただ、年金分割という名前が混乱させてしまう要因を作っているのかもしれませんが、「年金」という名称でも年金分割のたいしょうでないものも実際には多く存在します。

 

「年金」という名前であっても財産分与で整理すべき財産も多く存在しますので注意が必要です

よくあるのが企業年金であったり、IDECO(個人型確定拠出年金)も年金分割で整理されるものではありません。この辺りについて、年金分割で整理できたと考えてしまうとご自身が本来分与を受けることができた財産の分与を受けられないという事態に繋がりかねません。

 

年金分割の問題も一度弁護士にご相談されることをお勧めします

 

本当に年金分割で足りるか中身の精査ができる

まず相談の上、本当に年金分割で足りるのであれば、場合によってはご自身で手続きを進めることもできると思いますし、事務所によってはその方法の案内を行ってもらえるかと思います。他方で、上記述べたとおり、蓋を開けてみると年金という名前でも実質は、財産分与の対象になってくる財産であり、十分な整理が必要であるということも少なくありません。実際に私自身相談の上、このような経験をしたことは1度や2度ではありませんでした。

 

特に、条件面のその他の内容については、問題なかったという場合でいわゆる清算条項(これで本件について、全て解決というものです)を付してしまった場合は文字通り取返しにつかないことになりかねません。言ってしまうと、全て解決しているのでもはや整理する必要がないといった判断になりかねません。

 

年金分割で足りるとしても十分な手続の案内を受けることができる

上記で述べたとおり、相手方と会うことはあまり望まない方が多いと思いますので、結局裁判上の手続きを行わないといけないかと思います。年金分割の手続自体、他の手続と比較すれば、比較的容易とは言え、慣れていなければ難しい面もあります(裁判所手続自体、独特な面もあり手続に慣れていない皆様にとって難しい面もあるかと思います)

 

そう言った手続きですので、この部分のみのご依頼や手続の案内を受けることができますのでそういった利用をするという意味で弁護士への相談を利用することは十分なメリットかと思います。

 

よくある質問

具体的な分割金額はどのような方法で分かるか

 

年金事務所で年金分割のための情報通知書を取得した上で、実際の分与額を確認することで整理ができることになります。

 

手続を弁護士に依頼することは可能か

 

可能です。

慣れていない手続ですのでご依頼いただくことも少なくないです。

実務上、あまり争点になることが少ない手続ですので、比較的弁護士費用を安価に抑えることができることが多いと思います。

 

年金分割の手続を行って相手方がその割合を争ってきた場合どのような結果になることが多いですか、私の主張は認められますか。

 

ほとんどの場合、0.5で終わることになります。というより、私の経験上、これ以外の方法で終わるものを経験したことがございません。聞いた話では、調停で0.5以外の内容で整理したこともあるとのことですが、相当稀です。ですので、0.5以外の内容で終わる際は、しっかりとその内容で良いのかを見極めること必要です。

 

解決事例

依頼前

この方は、離婚のご相談で来られ、その依頼をという前提で「年金」もあったと思うので、この分割もお願いしたいといったものでした。

その上で、よくよく調べてみると、ここまでご説明した企業年金であり、いわゆる年金分割ではなく、財産分与の整理が必要といった状況でした。

依頼後

依頼者さんにその後、年金分割は年金分割で必要ですが、財産分与の整理が必要であることをお伝えし、早速そちらも整理をすることになりました。依頼前は相手方の財産はないと言われておりましたが、基準時(多くの場合、別居時です)の財産を双方で開示し、整理するとかなりの財産を相手方が保持しており、依頼者さんがかなり驚いていたのを今でも覚えております。

そこから整理して、離婚及び財産分与を踏まえて、相当分与(1000万円弱だったかと思います)を受けることになりました。

解決にあたって

本件はたまたま財産があったからこのような結果になりましたが、年金を契機にこれが財産分与の対象であることを踏まえて、他の財産の可能性をしっかり調査で来た結果です。

 

「年金」という名前で年金分割だけで良いと考えるのでなく、本当にそうなのかといった視点で十分検討することの重要性を考えさせられた事案でした。

 

まとめ

「年金」という言葉でも本当に年金分割で足りるかは、その内容を見ないとよく分かりませんし、年金分割の手続も手順を理解しないと難しいです。本件の場合はどう進めるのが良いかといった程度で良いのでお気軽に弁護士へまず相談されることを強くお勧めします。

この記事の監修者

代表弁護士 中村 誠志弁護士 (兵庫県弁護士会所属)

NAKAMURA SEIJI

弁護士登録後、全国に支店のある事務所で4年程度勤務弁護士として執務しておりました。その際には、相続、慰謝料請求、離婚、監護権争い、労働審判、建築訴訟、不動産売買、消費貸借、契約に基づく代金支払い請求、交通事故、顧問先様の契約書チェックや日頃のご相談といった具合にそれこそ多種多様な事件に対応してきました。このような多種多様な事件の中で私が一貫して考えていたのは、対応方針、案件を進める方針に納得して依頼して頂くことでした。私自身、方針を明確に示さないこと、それに対して十分なご説明をせずご依頼頂くことはお客様にとって不誠実であると考えておりますので、その点に焦点を充てさせていただきます。また、方針の決定に際しては、お客様のご意向(金銭的補償に重点を置きたいのか、早期解決に重点を置きたいのか、違う部分に重点があるのか)が特に重要と考えておりますので、それについてご意向を反映させた方針を共有させて頂きたいと考えております。

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